定年が近づくと、多くの人が考えるのが「このまま働き続けるか、それとも仕事を辞めるか」という問題です。
再雇用の話をもらっているものの、
「せっかく定年なのだから、もう仕事から解放されたい」
と思う一方で、
「仕事を辞めて毎日やることがなくなったらどうしよう」
「収入が減るのも不安」
「まだ働けるのに辞めてしまっていいのだろうか」
と迷う人もいるでしょう。
定年後の働き方に、すべての人に当てはまる正解はありません。
大切なのは「働くべきか、辞めるべきか」という二択だけで考えず、これからどんな生活を送りたいのかを含めて考えることです。
定年後も働くか迷うのは当然のこと
長年働いてきた人にとって、定年は人生の大きな転換点です。
仕事は収入を得る手段であるだけではありません。
毎朝起きる理由になったり、人とのつながりを作ってくれたり、「自分には役割がある」と感じさせてくれたりすることもあります。
そのため、仕事を辞めることは単純に「会社へ行かなくなる」というだけではなく、生活そのものが大きく変わることでもあります。
一方で、長年仕事を続けてきたからこそ、
「もう十分働いた」
「残りの人生は自分のために使いたい」
と思う人もいるでしょう。
どちらの気持ちも自然なものです。
まずは「働き続けなければならない」「定年したら仕事を辞めるものだ」といった固定観念から離れて考えてみましょう。
まず考えたいのは「なぜ働くのか」
定年後も仕事を続けるか迷ったら、最初に「自分は何のために働くのか」を考えてみてください。
たとえば、
・生活費のため
・老後資金を少しでも増やしたい
・社会とのつながりを持っていたい
・生活にメリハリがほしい
・仕事そのものが好き
・自分の経験を生かしたい
・家にずっといる生活が想像できない
など、人によって理由は違います。
特に大切なのは、「お金のため」と「それ以外の理由」を分けて考えることです。
経済的な理由で働く必要があるなら、必要な収入や働く期間を具体的に考えることができます。
一方、「人と関わっていたい」「生活に張り合いがほしい」という理由なら、必ずしも週5日のフルタイム勤務である必要はありません。
働く理由がわかれば、自分に合った働き方も見つけやすくなります。
「今の会社で働き続ける」だけが選択肢ではない
定年後も働くと考えると、現在の会社で再雇用してもらうことを最初に思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、第二の人生では、これまでとは違う働き方を選ぶこともできます。
たとえば、
・再雇用で今の会社に残る
・別の会社へ再就職する
・週2~3日だけ働く
・短時間勤務を選ぶ
・これまでとは違う仕事に挑戦する
・経験や資格を生かして仕事をする
・小さく自分の仕事を始める
などがあります。
現役時代は「収入」「役職」「キャリア」を優先してきた人でも、定年後は「無理なく続けられるか」「楽しく働けるか」を重視してもよいでしょう。
「働くか辞めるか」ではなく、「どのくらい働くか」という考え方を加えると、選択肢は大きく広がります。
仕事を辞めた後の生活を具体的に想像してみる
仕事を辞めるか迷っているなら、一度「完全に仕事を辞めた自分」を想像してみましょう。
朝は何時に起きますか?
午前中は何をしますか?
午後はどこへ行きますか?
誰と話しますか?
一週間の予定はどのくらいありますか?
「旅行したい」「趣味を楽しみたい」と考えていても、旅行は毎日するものではありません。
最初の数か月は自由を楽しめても、その後「毎日何をすればいいのかわからない」と感じる可能性もあります。
反対に、やりたい趣味がたくさんあったり、家族との時間を増やしたかったり、以前から挑戦したかったことがある人なら、仕事を辞めることで充実した時間を作れるかもしれません。
「仕事を辞めたいか」だけではなく、「辞めた後にどんな生活をしたいか」まで考えることが重要です。
「辞めたら後悔すること」も考えてみる
迷っているときは、「どちらが正解か」を考えるより、それぞれを選んだ場合に後悔しそうなことを書き出してみる方法があります。
仕事を続けた場合、
「もっと自由な時間を楽しめばよかった」
「体力があるうちに旅行へ行けばよかった」
と後悔するかもしれません。
反対に仕事を辞めた場合、
「もう少し働いておけばよかった」
「人と話す機会がなくなって寂しい」
「思っていたより毎日が退屈だった」
と感じる可能性もあります。
どちらにもメリットとデメリットがあります。
重要なのは後悔を完全になくすことではなく、自分にとってどちらの後悔なら受け入れられるかを考えることです。
これからの人生で何を優先したいかを決める
定年後の仕事について考えることは、これからの人生そのものを考えることでもあります。
仕事、お金、健康、家族、趣味、自由な時間、人とのつながり。
これらすべてを最大限にすることは難しいものです。
そこで、「これから特に大切にしたいもの」を3つほど選んでみましょう。
たとえば、
「健康・家族・自由な時間」
を大切にしたいのであれば、収入が多少減っても勤務日数を減らすという選択肢があります。
「収入・社会とのつながり・やりがい」
を大切にしたいなら、定年後も仕事を続けることが自分に合っているかもしれません。
世間から見て正しい選択ではなく、これからの自分が納得できる選択を考えることが大切です。
答えが出ないときは一人で決めようとしない
頭ではメリットとデメリットがわかっていても、なかなか決断できないことがあります。
「仕事を続ければ安心だけれど、本当は自由になりたい」
「辞めたい気持ちはあるけれど、この先が不安」
そんなふうに気持ちが揺れていると、一人で考えれば考えるほどわからなくなってしまうこともあります。
その場合は、家族と今後の生活について話してみたり、定年を経験した友人や知人に話を聞いたりしてみるのもよいでしょう。
また、身近な人には話しにくいことなら、第三者に相談するという方法もあります。
キャリア相談や人生相談などがありますし、「これからの人生をどう生きるのか」という大きなテーマについて、自分とは違う角度から考えてみたい人の中には占いを利用する人もいます。
もちろん、仕事を辞めるかどうかを占いだけで決める必要はありません。
大切なのは、誰かに人生を決めてもらうことではなく、話すことで自分の本当の気持ちを整理することです。
「本当は仕事を辞めたいのか」
「まだ社会と関わっていたいのか」
「これから何を大切にしたいのか」
自分の中にある気持ちに気づくことが、納得できる選択につながります。
定年後は「働く・働かない」を自分で選び直せる
定年後も働くべきかどうかに、万人共通の答えはありません。
仕事を続けることが生きがいになる人もいれば、仕事を辞めて初めて自分らしい人生を楽しめる人もいます。
そして、完全にどちらかを選ぶ必要もありません。
週に数日だけ働き、残りの日は趣味や家族との時間にするという生き方もあります。
定年は「働く人生の終わり」ではなく、これからの働き方を自分で選び直せるタイミングとも考えられます。
「まだ働けるから働く」「周囲も再雇用されるから続ける」と決めるのではなく、一度立ち止まって考えてみてください。
これからの人生で、自分は何を大切にしたいのか。
その答えが見えてくれば、「働くか辞めるか」だけでなく、自分に合った第二の人生の形も少しずつ見えてくるはずです。
